実施報告書& 基礎研修テキスト公開

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実施報告書& 基礎研修テキスト

ふるさとデザインアカデミーichiの実施概要および61組のデザインプロデュース実施結果を掲載した報告書と、短期集中プログラムで使用した基礎研修テキストを公開いたしました。ご覧になりたい方は以下リンクよりPDFをダウンロードください。

令和元年度ローカルデザイナー育成支援に関する委託事業_実施報告書
ファイルサイズ:26MB

基礎研修テキスト1_デザインプロデュース基礎
ファイルサイズ:11MB

基礎研修テキスト2_知的財産権と契約
ファイルサイズ:2MB

基礎研修テキスト3_デザインプロデュース実践のための基礎スキル
ファイルサイズ:2.2MB

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実施報告書について

激変する社会環境~ピンチとチャンス~

日本経済の成熟化や少子高齢化、人口減少など社会環境が目まぐるしく変化する中で、国内各地の中小企業・小規模事業者においては、製造原価に直結する経費の高騰、働き方改革に伴う生産性の向上、後継者不足の中での事業承継といった企業固有の課題に直面しており、厳しい環境下で将来に不安を抱いている方々は決して少なくありません。

一方、持続可能でよりよい社会を目指す国際目標「SDGs」が国連で採択され、わが国においても、ビジネス、科学技術イノベーション、地方創生、人材活用など様々な分野でサステナブルな社会づくりに注目が集まっており、未活用資源の利用や再生可能/循環型の商品・サービスの創出、作り手や地域の想いに対する消費者の共感から消費行動に至る「共感消費」の台頭、ICTやAI、ビッグデータを駆使したスマートシティ関連産業の振興等、新産業・新サービスの芽や消費行動の変化が広がりを見せています。

「デザイン経営」を実践するための「デザインプロデュース」

上記のように課題と機会が混在する社会で、事業者の方々が、「地域経済の活性化」や「未来に繋ぐ商品・企業づくり」を推進していくにあたり、注目されている手法の1つが「デザイン経営」です。この「デザイン経営」とは、ブランド構築や顧客ニーズを起点としたイノベーション創出に寄与する「デザイン」の力を活用する経営手法を指します。

私たちは、特に、中小企業・小規模事業者の方々が、「デザイン経営」を実践するためには、デザインの考え方を基本にしながら、ビジネスの上流から下流までを総合的にプロデュースしていくことが重要だと考えています。つまり、究極的に求められているのは、製品やサービスの開発をするだけではなく、企業のビジョン構築や顧客ニーズの探索から、一般に手薄になりがちな流通戦略や販路構築、事業の実現や継続に必要な組織・人材のネットワーク化まで、デザインと経営の両面から総合的に支援する「デザインプロデュース」だと考えています。しかし、地域においては、このような支援ができる人材は不足しているのが実情です。

デザインプロデューサーを育成するためのアカデミーを開校!

このような背景のもと、私たちは、経済産業省・中小企業庁の「令和元年度ローカルデザイナー育成支援に関する委託事業」として、中小企業・小規模事業者の支援者を主な対象とした「ふるさとデザインアカデミー ichi」を開校しました。

このアカデミーは、地域においてデザインと経営の両面から「デザインプロデュースができる人材(デザインプロデューサー)」を「短期集中プログラム」と「デザインプロデュースプログラム」を通じて育成するものです。このうち、「短期集中プログラム」では、全国20か所で全4日間の講義やワークショップを行い、「デザインプロデュースプログラム」では、北海道から沖縄まで61のプロジェクトにおいて、それぞれに従事する支援者・事業者のチームに対し、約半年間に及ぶOJTを実施してきました。

未来事業の創造のために支援者と読者に託す当報告書の活用

当報告書は、プログラムに参加して頂いた方々のみならず、同様の課題と機会を有している全国の中小企業・小規模事業者や支援者をはじめ、全ての方々に「デザインプロデュース」や「デザイン経営」を自分事(じぶんごと)として体感して頂けるよう、様々な分野の事例を紹介しています。「脈々と受け継がれた技術に革新的な造形を加えた伝統工芸品」、「地域産品を活用し地域をまるごとブランディングした食品関連商品・サービス」、「様々な関係者を束ね、巻き込んだ観光・まちづくり」、「現役高校生主導による地域産業と教育カリキュラムとの協業」、「大阪・関西万博を視野に入れた持続可能なエネルギー社会の実現」等、ヒントとなる事例が散りばめられています。webで公開している基礎研修のテキストと併せてご覧いただければ、より一層理解が深まることと思います。

これらの事例を見るに、ひとりひとりの力はたとえ微力であっても、事業者と支援者、様々なステークホルダーが協働しながら、「デザインプロデュース」を実践することにより、「デザイン経営」が促され、大手企業とは異なる独自性の高い事業が生み出せると私たちは確信しています。

ぜひ、未来の事業づくりを考えて行く上で、当報告書をヒントにして頂ければ幸いです。

それではぜひ「楽しんで」ご覧ください。

一般社団法人地球MD 代表理事

山本 聖

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基礎研修テキストについて

テキストを有効活用するために

本テキストは、地域に根ざし事業を営む地域企業が持つ可能性を最大限引き出し、経済価値と社会価値を生み出していくために必要にして最低限の知識を網羅した「デザイン経営の教科書」です。近年、ますます注目が集まるデザインの力を、経営の現場においてより多くの人が活用可能なものとするために、できる限り具体例を織り交ぜ、解説することを試みました。

今、地域に求められるのは、チームの力です。事業者とデザイナーだけでなく、流通、行政、教育機関など様々な専門性をもつ人たちが「デザイン経営」実現に向けて協働することで地域ならではの価値を生み出し、磨き上げ、生活者に届けていくことがこれまで以上に求められています。だからこそ私たちは、全国各地の志ある人たちが、つながり合い、協働を推進していく上で必要不可欠なチーム共通のメソドロジーを生み出したいと考え、このテキストを作り上げてきました。特にデザイン経営の実践において重要な論点については、ご自身の実践に活用・適用しやすくなるよう様々なワークシートを織り交ぜています。是非、実践にお役立てください。

また、本テキストに記載されているデザイン経営の考え方やデザインプロデュースのメソドロジーは、デザイナーだけが理解すればいいものではなく、事業者や行政をはじめとしたチーム全員が共通の認識をもつことで、最大限その効力を発揮するものです。是非、本テキストをチーム全員で共有し、ワークシートなどをフルに活用しながら、さらなる協働にご活用いただければ幸いです。

最後に。デザイン経営の実践に「正解」はありません。本テキストが示しているのは、デザイン経営を推進していく上での考え方、あるいは考えるべき道筋です。つまりデザイン経営の解は、実践する人の数だけ存在します。他地域の成功事例を表層的に真似る必要もなければ、他の事例と自分の実践を比較して一喜一憂する必要もありません。自分の地域、自分達のチームだからこそのデザイン経営実践の仕方が必ずあります。そんな多彩な実践が全国各地から生まれていき、日本のローカルがもっともっと輝いていく。このテキストが、そんな未来を生み出す一助となれば、製作者としてこれに勝る喜びはありません。

ミテモ株式会社 代表取締役

澤田 哲也

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